おしりに口づけを~陽気な南太平洋小説
少し前に、“ジャケ買い”ならぬ“タイトル買い”をした本。その名も「おしりに口づけを」。
南太平洋に浮かぶ島国・ティポタ国が舞台。
| おしりに口づけを 著者:エペリ ハウオファ |
ひとことで表すなら“抱腹絶倒の肛門小説”ということになる(あとがきより)。
主人公は元ヘビー級ボクシングチャンピオンのオレオイ。とはいっても、むしろオレオイのおケツが主役なんだけれども。
おケツの痛みを取り除くために治療しても、何度も何度もそれに振り回されるオレオイをコミカルに、またある時はシニカルに描いている。よくもまぁこれだけ書けたものだと思う。
オレオイだけでなく、他の登場人物もユーモアさたっぷり。名前にもどこかしら親近感を抱いてしまう。カティ・カニカニとかアッ・ソウとか。
作中は下品な表現連発だけれども、なぜか違和感を感じさせないのも、作品全体に漂う南太平洋の楽天的な雰囲気があるからなんだろう。
こんなの日本の作家じゃ書けないだろうし、仮に書いても大衆受けはしないだろうと思うけれど、作者の本国フィジーではどのように受け入れられているんだろうか?国民性の違いもあるし、予想もできないけど(^^ゞ
終盤の流れは大胆かつ強引であり、あらぬ方向へ流れていきました。やや期待はずれな感はありましたが・・・・。
最後に衝撃を受けたのは、作者・ハウオファさんが文化人類学者だってこと。学者さんですよ、学者。学者がこんなもの書いていいの?ってのがその時抱いた素直な感想です。
この作品、冒頭に作者の日本の読者に向けてのメッセージがあって、実はこれがなかなか興味深い。
人間の下半身は、きわめて下品で卑猥な妄想をかきたてるし、だからこそ、どの言語でもひどい罵り文句のたいていが下半身にまつわるものなのだ。しかし、私はそういうことばを、愛、調和、純粋についての真面目な議論のメタファーとして使っている。一見ありえないように思われるが、十分にありうるのだ。(冒頭より)
こんな風に考えられるのも南太平洋ならでは、って感じですよね。
気分転換したい、陽気な気分になりたい、って時に読むとよりこの作品を楽しめると思います。
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)


最近のコメント